祗園Loop Salon
- 竣工
- 2008 July
- 用途
- Bar
- 所在地
- 京都府京都市東山区新橋通大和大路東入ル元吉町71-9
- 工事種別
- 内装工事
- 施主
- 喜同
- 設計
- moonbalance / 辻村 久信、西山 徹
- 施工
- キクスイ
- 撮影
- 下村写真事務所 / 下村 康典
祗園の不思議
1999年京都・木屋町にデザインしたLOOPのオーナーから再び依頼を受け、
今度は祗園にもう一軒バーをデザインする事になりました。
計画された建物は、祗園の石畳をエントランスに建っていました。
古い花街の中で様々な光と影を見送ったであろうと思われるこの建物は、
無秩序に増改築を繰り返し「苦しそうに」この時を待っていました。
まだ、何も無い空間に身を置いて耳を澄ますと
この空間の向かいたい方向が聞こえてくるような気がします。
まず、空間を空間と認知できる最小限の構成要素まで簡素化する事。
そしてそこにまた最小限度の時代のエッセンスを加える。
この場合、無垢材のカウンターと椅子、アルミニュームの壁と
グラフィックプリントされた襖、
線上の間接照明と象徴的な光の柱が空間に重心を創ります。
最小限のソリッドな素材の単純な構成と光の演出で、
増改築を無秩序に繰り返されたこの建物は
“祗園”という街で本来の艶を取り戻したようです。
古い建物はそれだけで命を持っている様に感じます。
特にこの“祗園”では比喩でもメタファーでもなく・・・。
そして、この建物が“祗園LOOP”という化粧をして
新しく生まれ変わって喜んでいる様に感じます。
これが“祇園の不思議”かもしれません。
辻村 久信 / Hisanobu TSUJIMURA