京都離宮
- 竣工
- 2022 August
- 用途
- Shop & Restaurant
- 所在地
- 京都市伏見区中島鳥羽離宮町45
- 工事種別
- 外構・内装工事
- 施主
- プレメーズ
- 設計
- 西山 徹デザイン事務所 / 西山 徹
- 施工
- キクスイ
- 庭園
- 近江庭園
- 撮影
- 繁田諭 写真事務所 / 繁田 諭
京都伏見、城南宮の麓に一つの日本家屋がありました。
隣接する国道一号線の喧騒を忘れるほど、この建築空間は独自の世界観を有しており、
建材が高騰する今の時代では、なかなか叶わないであろう意匠を携えていました。
初めて現場を訪れた時、邸宅としての役目を終えたこの建築は、
数十年の雨風に耐えながら、この時を待っていたかのように感じました。
人が暮らしていた空間には、あの日の情景が蘇る魂のようなものを感じる事があります。
その呼び掛けにそぐわないように、既存空間と対話をしながらデザインを進めました。
販売カウンターは、古来より家庭で愛されてきた「おくどさん」をイメージし、
台所(食)が家庭では生活基盤の1つであるように、新しいショップでも空間の核となります。
また「おだし専門店」としてのアイデンティティーの表現として
鰹節を削り出す様に、薄く削った吉野ヒノキ・スギを貼り合わせた光壁が
空間を締めるデザインとして存在します。
そして既存意匠と共存するしつらいを整え、物販・飲食の空間へと息を吹き返す姿を見守りました。
インテリアデザインは後世へ残して行くべき建築と共にあります。
先人達へ失礼の無いように心掛けながら、今の時代のデザインも伝えていかなければ意味がありません。
はるか未来にここを訪れた人もまた、ここを「伝えるべき」空間だと感じられる様に。
西山 徹 / Tohru NISHIYAMA